レオナルド・ダ・ヴィンチ 上下
ウォルター・アイザックソン 著
土方奈美 訳
文芸春秋
大々的な広告を見たことによってこれらを買い、それから1年以上も読まずに放置し、今になってやっと読んでみようかと思ったものの、ペラペラと中をめくって拾い読みしただけで、あきれ返り終了してしまった。
というのは、前に、洋書の、薄いペーパーバックのレオナルド・ダ・ヴィンチ伝を読んだことがあって、それがかなり詳しく良い内容だったので、語るにしてもあの程度で十分じゃないのかな~と思い、上記のウォルター・アイザックソン著の方は、無駄にいろいろ書き過ぎているような気がして、あまりいい印象は持ちませんでした。
ただ1つ良かったことは、アメリカの本特有の仕掛けが最後にあったことです。下巻302頁から『レオナルドに学ぶ』とあって、何項目も、自己啓発的なタイトルが並んでおり、これに関してはちょっと感心しました。
伝記から得られた何らかのことを、個々人の実生活に生かすことができるような提案がしてある。
『レオナルドに学ぶ』の各項目を見ていて思ったことは、この世の中、結果や成果だけが求められて、全て結果で判断されるのが常の世の中において、レオナルド・ダ・ヴィンチの評価に限っては、これ程までにプロセスが重視されたり、プロセスに価値が見い出されたり、結果でなく過程がこれだけもてはやされ高く評価されるなどというのは物凄く珍しいことなのではないか、と思いました。正直言って、レオナルド・ダ・ヴィンチの仕事ってその多くはやりかけで、完成していることの方が珍しいのだったと思うし。
成果主義の世の中にあって、この『レオナルドに学ぶ』に挙げられている各項目を見ていると、こんなので本当に大丈夫なのかなと少々心配にはなりますが、プロセスに価値を見い出す、プロセス重視で生きる、という重要な視点を得ることはできるだろうなと思い、そういう点で、結果ではなく過程にこそ価値があるのであって、価値あるプロセスを積み重ねていくことの大切さ、というのがきっとあるんだろうな、というのは感じました。でもそれはレオナルド・ダ・ヴィンチが、全身全霊で過程に力を注いだから、我々後世の人間たちが未完であってもそれをすごいと思うわけで、生半可なプロセスでは、意義や感動を生み出すことは恐らくできないのだろうな、とも思う。
プロセスを楽しむ、というのは、自己啓発分野で良く言われることですが、言うは易しで、すぐに結果だけを求めてしまいがちで、プロセスなんて消え去ってしまう。
プロセスを軽視する事って、時間が消え去っているのと同義なのかも、とも思う(時間泥棒?ミヒャエル・エンデか?)。プロセスを十分に自分で楽しむことができれば、きっと時間が止まったかのように感じることができるのかもしれないし、時間を我が物にできるというか、自分自身の大切な人生の時間を味わい、自分で時間の流れ方をコントロールして生きているという感覚が得られるのかもしれない。
というわけで、レオナルド・ダ・ヴィンチ伝に関しては、個人的には↓こっちの方が良いと思う。というか好き。↓
Leonardo da Vinci
ALEX RAYNHAM
OXFORD
洋書だから英語で書かれていますが、そんなに難しい英語じゃないのでわかるし、簡潔に肝要な部分は抑えられていて、全体の流れが簡単につかめて良いと思う。
別に自分で買ったわけじゃなくて、他の家族の所有物で家の中にこれがポンと置いてあったので読んだだけなのですが。
レオナルド・ダ・ヴィンチは、実はとても美しい外見をしていたとか、ミケランジェロと闘ったりとか、軍事兵器をたくさん考案したとか、病身で山を越えたとか、機械仕掛けの人形を作ったとか、パトロンに恵まれた人生だったとか、いろいろ、読むまでは知らなかった知識を得ることが出来ました。読むまでは解剖学と発明のことくらいしか知りませんでしたが、画家や芸術家というよりかは、やはり工学系の人なんだろうなあという印象です。
レオナルド・ダ・ヴィンチの見た目についてですが、絵から判断して、新スタートレック(TNG)に出てくる、データ少佐(顔が白塗りのアンドロイド)の俳優さん(ブレント・スパイナー)のイメージに近いのかな?などとトレッキーの私は思ったりしています。別の映画とかで(インディペンデンスデイリサージェンスかジュラシックワールドか?)、ブレント・スパイナーがウエーブのロングヘアにしていて眼鏡かけてるのを外したら、多分すごい似てるかもしれないと思ったりしてます。
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