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「MODERNLIVING250」40坪の邸宅、が盛り沢山の内容で面白かった

「MODERNLIVING250」の特集記事が『40坪の邸宅』となっていたので興味をもって見てみましたが、その他の内容も興味深かったため、買って良かったと思いました。

この「モダンリビング」誌には、20世紀の名作住宅として建築史家・建築家の藤森照信さんが解説・連載しています。
この号は、林昌二+林雅子設計の「私たちの家(小石川の住宅)」が紹介されていて、この住宅綺麗だなあ、と感心しました。1955年の住宅建築とはとても思えない程美しい(現オーナーの建築家さんの改修が入っているそうです)。雅子レッドの部分もアクセントになっていてとても美しいです。
一番最初に、ダイニングテーブルがある空間の写真がありますが、朝食軽食新聞を読んだり会話用と思われる円卓と、大きな正餐用の食卓の、2台のダイニングテーブルが置いてあります。
欧米では多分この形式、軽食用と正餐用のダイニングテーブルを分けて使用する、というやり方があるのではないかと思いますが、日本でこのやり方は珍しいのではないかなあ、と思って見ていました。アメリカのブラックコメディアニメ番組「ザ・シンプソンズ」でも、朝食軽食用のダイニングと、正餐用のダイニングは別々になっていますよね。朝、忙しくシリアルとかを適当に食べる時は、キッチン付近の質素なテーブルでとり、ディナーやおもてなしは別室の正餐用の豪華なテーブルで食べる。こういう欧米風の習慣を反映しているとみられるダイニングキッチンの様子が大きく掲載されています。よく日本文化論では「ハレとケ」などと表現しますが、欧米スタイルの、テーブルの使い分けによって聖俗の区別をするというやり方もあるんだなあ、ということがわかりますね。
最近の日本の住宅でも、キッチンにカウンタースタイルのコーナーを設けて、朝食など軽く食べるスペースを作る場合もありますね。ちゃんと食べる時だけダイニングテーブルで、というやり方で。
食べ方や食卓に関する考え方、いろいろあると思います。個人的には、アフターヌーンティーというか、お茶をするテーブルのある部屋か、応接間とかではなく、茶話会ができる部屋が自宅にあれば良かったのかな~、などと今となっては思います。広々とした和室の客間というのも良いかもしれないけれど。お客様を呼べる専用の間かテーブルがあると心の余裕を持って暮らせそうに思う。

40坪の邸宅、という特集でしたが、40坪なら豪邸より想像しやすいと言うか、40坪でも個人的には十分に広いのではないかと羨ましく思うのだけれど、まあ手の届く想像可能な坪数かな?と思いながら写真を見ていました。とても美しい住宅ばかりです。
ただちょっと思ったのは、最近はプライバシーを重視するあまり、旧来型の掃き出し窓を設けない場合も多くなっているのではないか、と思うのだけれど、確かに天窓とか上方からの採光って素晴らしく良いだろうとは思うのだけれど、意外にも人間って、周囲を全て壁で囲まれると長期的には結構ストレスに感じることもあるのではないのかなあ?とか思ったりもします。旧来型の大きめの窓に、周囲の景色がちゃんと透けて見えるくらいの薄いレースカーテンなどをして、戸外の様子、人や車の往来、が容易に目に入る場所も一部には作っておいた方がストレスがずいぶん減るのではないかなあ?などど思ったりしています。お籠もり感とか、プライベート感も重要なのだけれど、少しは外の様子や、町の活気が窓を通して感じられる方が安心する部分はあるように思う。

他には有名処としては建築家の永山祐子さんも何ヵ所か出て来られていました。
『あなたにとって「住宅の本質」とは?』では識者7人の回答があり、藤森照信さんの回答にかなりびっくりしましたが、縄文時代みたいな写真が並び確かに納得!中村拓志さんの回答もありました。個人的には、写真家の藤塚光政さんの回答コメントが好印象で、最も共感が持てました。 

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