建築家の石上純也さん設計で２０１８年６月竣工の『水庭』というボタニカルガーデンがあります。こうした作品が社会全体に影響を及ぼしているのかどうか、果たして因果関係は不明ですが、今後ちょっとしたブームが起こりそうな予感がしているのは、「ビオトープ」のミニチュア版である「ミニビオトープ」というものです。マイブームといった程度の意味ではなく、もっと社会的に広がりを見せるような大流行の兆しがしないでもありません。ベランダガーデニングでは飽き足らない人達や、昨今の猛暑の影響で、小さな水場のある庭の風景の需要が今後高まるのではないかと予想されます。
私も屋上でミニビオトープ作りをしてみたいなどと、突然イメージが膨らんで来ました。
直接的なきっかけは石上純也さんの『水庭』ではなく、料理研究家の栗原はるみさんの季刊誌『harumi』の古い号を、もう処分しようかと選別しながら先日ペラっと見ていたところ、「庭の池の金魚に餌をやる」という文章と写真を見たことがきっかけです。
この頃気温が上がって来た影響か、金魚と聞いただけで涼しく感じ、頭の中が金魚でいっぱいになりました。料理研究家の栗原はるみさん宅の誌面での写真には、庭に池があり、そこに大量の金魚が泳いでいる様子がありましたが、うちにはそのようなものは無いので、うちでは庭に替わるものは屋上となるので、もしも屋上に、睡蓮鉢で金魚を飼育できたら楽しいだろうなあ、と一気に想像が膨らみました。
これまで私は何度も、酸欠で金魚を死なせているにも関わらず、です。
水槽にエアーポンプを設置すると考えただけでも憂鬱なので、今度こそ、酸素タブレットを使用して死なせない、などと決意しながらどうしたら上手く行くか計画を練っていました。
他にも、睡蓮鉢なんかに水を張ったら、蚊が大量発生して大変なことになるのではないか？そんな疑問も浮かびました。ところが、そうではないのだそうです。メダカを睡蓮鉢で飼うとボウフラを食べてくれるんだそうです。生態系ができあがるとのこと。すごいんですね～、驚きです。
ビオトープならぬ、イネトープというものまであるのだそうです。
イネトープとは、ベランダや屋上など都市生活空間に、ミニ水田を作るというもの。実った稲を刈ることができ、田んぼで繰り広げられるような生態系のミニバージョンがイネトープでちょっと体験できるというもの。
でもなんとなく、ここまで考えてみて、やっぱりそういうのはずるいのではないか、と思い始めました。
田舎を嫌い都市生活に浸り切っているわりには、やっぱり都市生活を謳歌しながらも小さな自然をお洒落にガーデニング感覚で楽しみたいなんて、ちょっとずるいんじゃないの？と思いました。
実際の所、私は手が土で汚れるのが大嫌いで、しゃがむのも大嫌いで、そういう田舎暮らしなど本来ならば見向きもしないのに、ちょっと見た目が美しく植物のデザイン配置や生物生体の美しい動きを見ると急に褒め称え興味を持ち始めるなど御都合主義の偽善者そのものではないか、と。
本当にそのようなものが好きだと言うなら、都市生活すべて捨て去って何も無い田舎に移住して泥にまみれて野良仕事をしてみなさい、というのが本当の所ではないか、と思ったりしました。
そう、きっと私は御都合主義者です。そうした自然のものに一瞬心を奪われ、戯れにちょっと体験してみたいなどと言い出すのは。
もう少しで金魚すくいの季節がやってきます。偽善者であることを自覚しながら、もしも金魚すくいの頃までに睡蓮鉢などビオトープセットの用意が間に合うようであれば、屋上で魚飼いを始めてみようかと考えています。金魚すくいで金魚がもらえたら、自前のミニビオトープに金魚を放してみる。ミニビオトープでスイスイ泳ぐ金魚やメダカを眺める。そんなことができたらさぞかし楽しいでしょうし、涼むことができるでしょう。
※今回の写真は自分で撮影したものでなく、フリー素材PAKUTASOから©すしぱく様の写真を貼付させて頂きました。
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