Qu'en pensez-vous?

空間について考えます

「住まいのデザインノート」を見てみました

「住まいのデザインノート」
石井秀樹 著 
株式会社 エクスナレッジ

書店のイチオシらしきスペースに平置きになっていたので見てみたところ、住宅建築における開口部からの光の差し込み具合が良くわかるかな~と思って、これは買いかな~と思い購入しました。別に私は一般人ですので設計には何の関係も無いですが、家というのは一度建てるとまたもや建てたくなるというか、どちらかというか後悔なのですが、開口部を失敗してしまったと思った場合、他にどのような可能性があったのか、選択肢があったのか、一体何がベストだったのか、と悶々と考える日々が続いていたということがありました。残念ながら、またもや引越しの気配が濃厚になって来たこともあり、もし次回、仮に賃貸であってもマンションでなく戸建てに住むとしたならば、どういった空間を持った戸建てを選ぶべきなのか、など、一応イメージを膨らませておかないとどうにもならないと思ったために一応お買い上げ、ということで、こちら石井秀樹さん著の「住まいのデザインノート」という作品解説集らしき本を見てみました。

書店でパッと見た時は、すごく良いと思ったのですが、よくよくページをめくって見てみると、実はあまり自分の好みではなかったことに気が付きました。少々渋すぎる感じがします。インテリアの色彩があまり好みではありません。私はもっと脳天気なテイストの方が好みです。
あと、この方、かなり芸が細かいように思いました。空間的な操作がミクロにまで至っているだけでなく、敷居を奇妙な形に変形させたりもしています。そういうかなり細部に至る制御を好むのがこの建築家の方の特徴なのだろうなあとは思いました。
低い位置に窓を作る傾向も強いみたいです。かなり採光を抑制している感じ。
他にも、63、102頁にあるタイプの浴槽、どこかで見たことあるよな~と思って考えていたら、多分、グヴィネス・パルトロウ主演映画「ダイヤルM」というサスペンス映画だったと思うけれど、それに出て来ていた浴槽が、石井秀樹さん設計の住宅の浴槽とそっくりだと思いました。

空間としては、「東村山の家」のような植物が茂る中庭を囲むタイプの、まさにそれと同じような空間が、住宅でなく公共建築空間で2ヵ所、私の行動範囲にあるので実体験しています。64、66頁の写真とか、私がたまに訪れる空間ととても良く似ています。こういうのが自分の家の中に欲しいと思ったことは一度もありませんが、訪れて滞在して眺めている分には綺麗だなあと思って、いつも感心しています。そういう空間が流行になっているのではないでしょうか。本当に巷に良くあります。

全ての中で、気に入ったものがあったとすれば、120頁の「辻堂元町の家」の離れ風ゲストルームへの写真が綺麗、と思いました。こんなゲストルームがあってこういう中間領域的空間が確保されるなら理想的だなあと思いました。

でも、この作品集のすべてが、実際に今現在生活が営まれている個人様の住宅なわけで、なんだかこんな風に記事にするのも申し訳ない感じはしますけれども。

しかし、見ているといろいろイメージも膨らんでくるし、自分の好みもわかってくるし、見る分には悪くない作品集だと思います。
家を建てようと考えてる方も設計前に事前に一度見てみて、開口部の光線の差し込み方の実例集として参考にされるとためになるのではないかな~と思います。

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