隈研吾さんの作品集。
ぱらぱら、とか、ふわふわ、とか、感覚的に質感を表現する言葉を用いて近年の作品をめぐる写真集になっています。
オノマトペを打ち合わせで多用しているのだとか。
そういう建築って、たぶん感じの良い建築だと思う。
つまり、境界が薄いというか、「薄い」という表現は適切じゃない・・・「ゆるやかな境界」とでも表現されるべきものかと思います。
以前、「自然な建築」という本だったか、「負ける建築」という本ではなかったと思いますが、隈研吾さんのある著書中に、隈研吾さんがイメージする境界について書かれていたと思います。道路と壁とをパキッと隔てるのではなく、だんだんと薄い層を重ねるようにして、入っていたと気付かないうちに、建築内部に入っていた、というような、ニュアンスだったと思いますが、そのイメージがこのような形で実現化してきています。
他にも、粒子が降り注ぐ感じ、というのも前々から(石の美術館の頃から)仰っていたことだと思います。
そう、この傾向、ついこのあいだ、建築雑誌を見ていた時にも思ったのですが、大手設計のビルディングにも、「ゆるやかな境界」が導入されてきているのです。ガラスむき出しではなく、何か1枚被膜というかルーバーだったりもしますが、必ず何か張り付いているというか、何か、ワンクッションあるのです。
半年くらい前に、たまたまテレビに梅田スカイビルが映っていることがあって、本当に何十年ぶりに見た!?という感じだったのですが、「あれっ、どうして!?古く感じる」という感じがしたのです。
1990年代初頭の建築だったはずですが、梅田スカイビルみたいなパキッとした境界面の建築が、ものすごく年代物に感じるのです。う~ん、これがポストモダン建築、という感じで。
ですので、明らかに、ポストモダニズムよりも先に、建築デザインが来ています。建築傾向が進化しています。これを何と呼ぶのでしょう?最近あまり熱心でないので、いろいろ調べていませんが、何か、ポスト・ポストモダニズム建築についての呼び名みたいなものは、世の中に流通しているのでしょうか?知っている人がいたら教えていただきたいくらいです。クマニズムでしょうかね???
必ずしも隈研吾さんの作品だけの特徴とも言いづらいと思うのですが、様々な建築に顕著に見られる傾向となってきました。
この「オノマトペ 建築」の中で、知識が得られたのは「すけすけ」の章の最初に書かれている文章でず。「そうなんだ!」と勉強になりました。すけすけ感を出すためのアフォーダンス理論に基づく隈さん流設計法が書いてあります。
建築写真も美しいです。
那賀川町馬頭広重美術館 隈研吾 その1 - Qu'en pensez-vous?
石の美術館 隈研吾 その1 - Qu'en pensez-vous?
原広司 HIROSHI HARA: WALLPAPERS - Qu'en pensez-vous?