Qu'en pensez-vous?

空間について考えます

独自:空間考察

終焉しかけの文明の只中で、文明の興りに立ち返る

ギリシャ神話と、2つくらい前の記事で出て来たので、ちょっと書いてみようかと思います。詳しい人も多いかと思いますし、私はほとんど知らないに等しいので誤り無いように書けると良いのですが。 すごく面白いと思うのが、記憶と芸術分野が結びつけられてい…

「時間は存在しない」3周目から、近傍について考える

カルロ・ロヴェッリ「時間は存在しない」をこれでもう3回通しで読みました。さすがに3回目ともなると、「その話知ってる」と、こちらは少々生意気になって来るんですが、何で知ってるかと言うと、カルロ・ロヴェッリの言うことをさんざん読んでやっと記憶…

イマジネーションを逞しくすることによって認識可能な美しさ

久しぶりに建築雑誌、GAJAPANと新建築ですが、それぞれどっさり数冊分見てくることができました。そこにあったものしか見れていないので、欠落していた号などあったり情報は幾らか抜けているかと思います。 一時期は、もう建築自体をそんなに見に行ったり建…

ヘラクレイトス再考

西洋哲学ではある同一のものについて肯定と否定の同時並置はしてはいけません、ということになっているわけなのだけれども、それを平気で言ってしまったのがヘラクレイトスということになってしまいます。しかしそれは、時間の流れ、『時間内部性』の介入に…

考えていると日常生活に支障を来たすヘラクレイトス

大変久々に建築雑誌を見る機会があり、GA JAPANの方は少ししか見れなかったのですが(巻頭の藤本壮介さんのエッセイを大変興味深く読みました。何と医療従事者のご家族。初めて知りましたが、このことで一気に親近感を持ちました)、新建築の方は数冊分見る…

人口と、建築や都市の現れ方

多分、何でも産地が大事で本場で特産品を入手しよう的な精神で、お土産ってことだからやっぱ桃は桃なんだろうなあ!? 久しぶりに洋楽を聴いてみたら、既に2021年を代表する名曲が出揃っていた - Qu'en pensez-vous? 少し前に記事にしたばかりのジャステ…

空気の設計とは

いつも意識しているつもりなのですが、建築とは全く無関係の平凡かつ雑用や心配事の多い日々の中では思い至らないことも多く、多分、当ブログのコアな読者様方は、空間についての話題についてもっと書きなさい、と思われているのではないかと思うので、少々…

リモートワーク/オンライン授業は、均質空間からの退避

新型コロナウイルスの影響で、地方への移住をされる方も多いと思いますし、リモートワークやオンライン授業の方も多いのではと思います。 ひょんなことから突如として、超高層建築オフィス群という均質空間から、住宅、住居というプライベート空間の方が力を…

新しい近傍とは

急激な変化に適応する(3)建築理論編 - Qu'en pensez-vous? ↑前回のブログを書いた後、以下の、建築家の原広司さん著の書籍を再読して考えてみていました。↓ 『ディスクリート・シティ』 原広司 - Qu'en pensez-vous? 『DISCRETE CITY Vol.1 ESSAY離散性に…

急激な変化に適応する(3)建築理論編

コメントを受け付けていないわりには読者様方から度々助けられることがあります。アクセス解析を見て、どうしてその記事へのアクセスが今頃増しているのだろう?と考えていてハッと気が付きました。『文字通り』でした。空間について書きますなどと言って自…

デカルト的視点で「非ず非ず」を考えてみる

当ブログにおいて、息長くアクセスされる記事として挙げられるものの1つに以下の記事があるようです。↓ 「非ず非ず」を西洋の言い方に置換してみると? - Qu'en pensez-vous? 「非ず非ず」について、前回とはまた少し別の視点から考えてみたいと思います。…

「小さな建築」や「縮小」の概念はメジャーなのかマイナーなのか

大名古屋ビルヂング&スカイガーデン - Qu'en pensez-vous? ↑少し前の上記記事で本当は思ったことがあったのだけれどまだ書いていなかったので、今から補足したいと思います。 圧倒的な外観に比べたら、内部空間はこぢんまりとしていると私は思いました。と…

ル・コルビュジエのピロティから連想するもの

隈研吾さんの「場所原論Ⅱ」の序論まで読んで思ったこと - Qu'en pensez-vous? 1つ前の記事からの話の続きを別カテゴリーの記事として書き始めたいと思います。 確かに「場所」は重要なことには違いないですが(「場所に力がある」とするアリストテレス的考え…

ロック「人間悟性論」は好みでした

様相とは、可能性と関わりはあるが、スクリーン化はしなさそう - Qu'en pensez-vous? モードチェンジと様相(モード、モダリティ) - Qu'en pensez-vous? 哲学系の資料は揃いました - Qu'en pensez-vous? 空間を語ろうとすると時間の話になるのは奇妙過ぎる …

建築と植物との関係について

『くうねるところにすむところ 04 家族をつくった家 芦原太郎』を見てみました - Qu'en pensez-vous? 前回の更新の時書き忘れたため補足しますが、上記記事の本の中には庭の雑木林が生い茂る様が出て来ていました。「『建築が植物に取り囲まれ埋もれる』と…

空間を語ろうとすると時間の話になるのは奇妙過ぎる

資料が揃いましたが、果たして意義あることが書けるかどうか不明と書きましたが、本当にその見解は今も変わりません。 哲学系の資料は揃いました - Qu'en pensez-vous? 裏技を使ってちょっと考えているところですが、どう考えてもおかしいのは、哲学者が空間…

六本木ヒルズはオランウータンが設計したかのような空間構造をしている

ところで、2018年の冬に、六本木ヒルズのことを記事にした時に書き忘れたことがありました。 ウィキペディアなどで調べれば六本木ヒルズ森タワーの設計者のリスト、ずらりと出てきますが、この六本木ヒルズの商業施設部分、本当に変な空間をしていると私…

様相とは、可能性と関わりはあるが、スクリーン化はしなさそう

モードチェンジと様相(モード、モダリティ) - Qu'en pensez-vous? 先日↑これを書いたことで、反省して仕方なく(!?)ちょっと勉強してみました。まだ途中なので、適当な印象しか書けませんが現時点では以下の通りです。 建築家の原広司さんが仰る意味で…

モードチェンジと様相(モード、モダリティ)

突然思いついたんですけど、建築家の原広司さんの著書「WALLPAPERS」の最後の方にある札幌ドームに関する所で『モードチェンジ』ってあるじゃないですか。札幌ドームはホヴァリングステージであるサッカーフィールドを陽の当たる所に出しておけたりとか、野…

方丈という不思議な空間モデルから、ホログラフィック宇宙論へ

後続記事では、大地の芸術祭の今回のコンセプトの1つが「方丈」だったようですが、建築家の原広司さんが著書の中で述べている「方丈の空間」や「縮小の美学」について、独自考察して書いてみようかと思っています(上手く書くことができなかった場合取り止…

「空間」とは人間の知覚が作り上げる虚構の形式ではないのだろうか

先日インターネットの某サイトトップページを見ていたら「ネット空間」という言葉が目に入り、頭の中に「ネット空間」という言葉が繰り返しテロップのように頭の中に流れて、急に思いついたこと。ネット空間、サイバー空間、仮想現実空間、今までもずっと言…

「非ず非ず」を西洋の言い方に置換してみると?(2)

建築家原広司さんの概念的なお話が好きだという方々に根強い人気を誇るとみられるこちらの過去記事(↓)ですが、 「非ず非ず」を西洋の言い方に置換してみると? - Qu'en pensez-vous? また少しわかったことがありましたのでその続編を書いてみたいと思いま…

橋の虚構性と境界性について、能を例にとり考える

原広司さんの「集落の教え100」の[94]が橋となっています。書籍中には、「橋は道であると同時に門である」とあり、橋が閾であり、境界に関わるものであることが書かれてあります。同じく原広司さんの「ディスクリート・シティ」では連結可能性と分離…

均質空間は「ルーフ」の概念を消去している

建築家原広司さんの「空間〈機能から様相へ〉」の中で、「均質空間論」よりも、実は現代建築に対して大きな影響力を持ち続けている論文は「境界論」ではないかと思われます。 建築の境界を示す3要素は「ルーフ」「エンクロージャー」「フロア」であると境界…

「下向する」建築、「下向」は3次元的な閾となりうる

少し前の記事で「下降する」建築について書きました。↓ jaunecitron.hatenablog.com 「下向する」というのは、だいぶ昔の原広司さんのお話で何度か出てきていたと思いますが、今回本をひっくり返してみてみると、「下降」という字は間違いで、「下向」と表記…

「集落の教え100」の補注 1自然 2空間 について思うこと

長年に亘りずっと建築家の原広司さんの空間概念や理論に興味を持って来ましたが、ここのところ突如として見る目が変わって、少々引き気味です。少々冷めたかもしれない。理論面に興味があったからこそ、このようなブログも始めたわけで、空間について考えて…

可能態、現実態、の取り扱いについて その2

「その1」の最後で何を書いていたかというと、古代ギリシャ人と現代人とでは時間の流れ込む方向と時間が未来へ向かう方向が違っているという話でした。どこに書いてあったのか探したいのですが、今手元に本が無いので確認のしようがありません。ですが確か…

可能態、現実態、の取り扱いについて その1

様相についての哲学的に正確な説明については、不勉強過ぎるので今回は保留にしたいと思いますが、何となく思うに「様相」という翻訳自体に誤りがあるのではないかという感じがあります。様相は必然、偶然、可能、不可能などありますが、これは様態と言った…

記号場とは何か?

「記号場Semiotic Field」という不思議な造語を、最初に目にしたのは、建築家・原広司さんの「空間<機能から様相へ>」においてです。記号学、記号論、という分野がありますが、それと同様に空間においても記号論に相当するものがあるのではないかという仮…