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空間について考えます

ML モダンリビングの豪邸特集が面白い

先日家の中の大規模な片付けを行っていたところ、買ったのに読んでいなかった雑誌を発見しました。またもや丸1年前の雑誌となります。
他、いろいろ溜まっていた雑誌などを処分したりしましたが、この、見ずに放置していた雑誌が面白かったのでこれだけは処分せずに残しておきました。

ML MODERNLIVING[モダンリビング]
no.238 密集地でも豊かに暮らす!都市の豪邸
株式会社ハースト婦人画報社

238号は2018年5月号なので、また1年前の雑誌の話になってしまって申し訳ないです。モダンリビングは頻繁に豪邸特集をやっているので、2019年の最初に出た号も確か豪邸特集だったはずです。まだ見てません。今、出てる号は確か安藤忠雄さん特集だったはず。

こちら、238号は、豪邸特集の他、スター建築家としては、田根剛さんと隈研吾さんが登場されてました。隈研吾さんてどこにでも出ているんですね。隈研吾さんのスペシャルインタビューがありますが、これ結構内容が良いと思いました。『負ける建築』『自然な建築』『小さな建築』を一気に凝縮したようなお話が読めると思います。GA JAPANとかで語っている内容とかよりも良い感じがしました。他には建築史家の藤森照信さんによる土浦亀城邸の解説もありましたし、宮脇檀の住宅の作法の連載もありました。結構盛沢山ですね。
土浦亀城邸については、以前何か他で映像で見たことがあったと思うんだけれど、一体何だったのかが思い出せない。テレビで見たのかな?

でも、何が見たくてこの雑誌を買ったかというと、ただ豪邸の写真が見たかっただけという理由で、中に隈研吾さんなどが載っているなんて気が付きもせず買ったのでした。

豪邸って住めるものなら住んでみたいと思います。一体いくらかかるんでしょう。2億円くらいあれば豪邸は建てられるのでしょうか?1億円では足りないのではないでしょうか。既に土地があるところに建てるのなら1億円でしょうか。どう考えても実際に豪邸に住むなんてことは無理だと思ったので、雑誌で豪邸を見ることができるなのならば見たい。そういう理由で買いました。

マンション暮らしが長い間は戸建てに住もうなんて思いもしないと思います。でも戸建てに住み始めると今度は豪邸ってどんなだろうと考えるようになる。マンションというのは空間に対する想像力を一気に委縮させてしまうものだと思います。

で、モダンリビングで豪邸を見てみましたが、確かに豪邸なんだけれども、何となく、私が想像する豪邸と違うものが載っているような気はしました。確かにそれらは豪邸だし、モダンリビングというからには「現代の豪邸」とはこのようなものだ、ということなんだろうけれども、私としては、豪邸というと、ベルサイユ宮殿とかオペラ・ガルニエのホワイエみたいな、ああいうキンキラキンで装飾が豪華絢爛なのが豪邸のイメージなので、何か少し奇妙な感覚はしました。そこまで行くと行き過ぎでそれは果たして住宅なのか迎賓館なのか区別がつかないということなら、せめてホワイトハウスの内部空間くらいの西洋風のああいうふんわりした空気感のあるインテリアを持つ空間が豪邸のイメージという気がする。キンキラキンできらびやかなものも悪くはないのではないかなという気はしているというか、世の中のデザインはシンプル・ミニマルに統一されてきていますので、普通の住宅をただ大きくすると現代の豪邸が出来上がるといった事態になっている気がします。
豪邸と言うからには日常とはかけ離れた別世界的空間であるといいのになあ、と想像するのだけれど、ただの普通の住宅が大きくなっただけなんてつまらないというか、底辺のデザイン性が向上したために豪邸が普通の住宅の延長線上にあるものでしかなくなってしまったのかもしれない。流行の空間性を把持するよう設計された良くある狭小住宅を巨大化した「巨大邸」を、「豪邸」と呼んでいるだけな気がする。

時代錯誤なキンキラキンできらびやかな装飾的な豪邸もあってもいいしそういうのも雑誌上ならば見てみたい気がします。
ものすごく研究され尽してしまって、中庭を設けて建物や壁で囲みプライバシーを確保する、光や風を取り込み緩やかに開く、光が差し込む中間的領域を作る、とか、植物を利用する、とか、空間の配列に留意する、など、空間に対するスタディが高度になされた狭小住宅がもう当たり前になっていて、もう、見る側が目が慣れてきてしまって、ほとんどのことでは驚かなくなってきているというのもあるのではないでしょうか。住宅建築はものすごく向上しているのだと思います。でも、モダンリビング、見ている分にはものすごく綺麗だし、面白い雑誌です。
でももう少し、普段見ることのないようなものが見てみたい。
横浜のホテルニューグランドの内部のような、ああいう古古しさや重々しさや味わいが経年変化によって出て来るような豪邸が本当は見てみたいと思います。

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