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この手の番組が好き:NHKドキュメンタリー海洋アドベンチャー タラ号の大冒険

www.nhk.or.jp

海洋アドベンチャー
タラ号の大冒険2


NHKで2017年7月に放送されたドキュメンタリーですが、こういう番組が好きで、次回3がいつ放送されるのかなという淡い期待があります。たぶんこの手のものの放送は夏じゃないかと思います。
きっかけは、「タラ号の大冒険1」というか「タラ号の大冒険」の一番最初の回をたまたま見かけて、ファッションデザイナーのアニエス・ベーが海洋探査船タラ号のプロジェクトに携わっている関係でアニエス・ベーがその理念について長々としゃべっているのが聞こえて、「あっ、フランス語の聞き取りの練習になるかも」と思い見入ったことがきっかけでした。他にもタラ号メンバーたちのフランス語も聞けるので勉強になると思い見ました。元々サンゴの白化現象をはじめとする環境問題には興味があったことと、海洋アドベンチャーというのがジュール・ベルヌっぽくていかにもフランスらしく結構好きな切り口で気に入りました。
「タラ号の大冒険2」は、あまりフランス語の勉強にならないですね。あまりフランス語は出てきませんでした。ほぼ全編日本語でした。
しかし、内容的には、環境問題についての勉強になり知識を得ることができました。
ブログを休止している間に、どんどんこの番組について書かないうちに時間が過ぎてしまうため、この機に「タラ号の大冒険2」でわかったことなど書きたいと思います。

この番組の肝は、海洋酸性化が進んでいるということでした。
たぶん頭のいい人は全体像を言われなくてもすぐにパッとわかるのだと思いますが、私は地球温暖化と海洋酸性化の関連性が瞬時にはわかりませんでした。俳優の西島秀俊さんのナレーションで初めて以下の事実を理解しました。

海は人類が排出したCO₂の1/3を吸収しているので、地球温暖化が進んで大気中のCO₂濃度が増加するに伴いそれがどんどん海に吸収されて行く。海が吸収してくれるから大丈夫だと思ってはいけなくて、CO₂を吸収した海は、海の酸性度を示すpHが下がり続け酸性化へ向かっていく。サンゴはpHのわずかな減少で骨格が作りにくくなりサンゴの死滅につながっていく。

サンゴだけではなくて、酸性化した海では生物が生存していられないくなる。例えば、貝のような殻を持った生物は酸性化した海水により殻が溶けるなど、致命的な打撃を受けることとなる。それがもっと進行すれば生物が死に絶える海となる。生物多様性を支えるサンゴも、食物連鎖の要となるプランクトンも生きられない海となる。

また、2億5千万年前に西シベリアで起きた巨大噴火により大量のCO₂が排出され温暖化が加速したということがあったのだそうです。その時には生物種の95%が死滅するという地球史上最大の絶滅があったということでした。この大量絶滅は、海洋酸性化が原因であると考えている科学者がいるとのことで、1万年にわたり大量のCO₂が海に溶け込み海洋酸性化が進んでいた証拠をエジンバラ大学の研究者が発見したという話も出てきていました。強い海洋酸性化によって海に生息する生物の90%以上、陸上生物の2/3が絶滅したと研究者たちは考えているとのことです。現在人類は、大絶滅時代のCO₂を上回る量のCO₂を毎年海の中に送り込んでいるということでした。

よく酸性雨と言いますし、酸性雨に当たると何か溶けるかも、などと心配したりもしますが、それと同じことが海でも起きていて、それが海洋酸性化、それは地球温暖化温室効果ガスが原因であったということで、本当に何から何までつながっているのだということがわかります。地上のことと海のこととが漫然と日常生活を送っている我々には関連性が良く見えていないのだと思いました。

日本と言う島国に住んでいて、魚が美味しくて、魚をよく食べるのに、その住処である海がどうなっているのかも知らなかったし、海と陸とがつながっていること、それも普段の生活ではまったく意識することなんて無かった。
自然とは偉大なんだな、と改めて感じる番組でした。
人工的な環境で生活することがほとんどですが、時には自然に接して地球全体の生態系の循環を感じることは大切なことかもしれないと開眼しました。

ナショナルジオグラフィック日本版2017年2月号掲載の海洋保護というオバマの遺産 - Qu'en pensez-vous?

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