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空間について考えます

くうねるところにすむところ30 坂茂の家の作り方 を見てみました

くうねるところにすむところ30 坂茂の家の作り方
坂茂 著   平凡社
「くうねるところにすむところ」のシリーズは当ブログで度々取り上げていますが、今回は坂茂さんのものをチョイスしました。「くうねるところにすむところ」シリーズは設定年齢14歳とのことで建築を志す子供向けの本ということですが、大人でも普通に読めますし、肝心なことがダイレクトに良く伝わるので、今回、坂茂さんの家の作り方を順に読んでみて、とても心に響きましたし大変興味深く感じました。
こちら、本当にお勧めしたい良い本だと思います。
最初の方は、ビールケースを使った仮設住宅や、災害時の紙の間仕切りシステムなど、坂茂さんと言えばこれ、といった既にお馴染みのものから始まるので、うんうん、そうそう、という感じで特に驚かなかったのですが、だんだんページをめくっていくうちに、様々な住宅がズラリと紹介され始めるあたりで、私はかなり驚嘆しました。
すごいです。
坂茂さんは海外に飛び出した組で、クーパー・ユニオンで建築教育を受けたということから、その影響なのでしょうか。従来型の日本人建築家とは、発想がまったく違う感じがします。
家具の家、ダブル・ルーフの家、シャッターの家、カーテンウォールの家・・・等々、驚きの住宅が掲載されています。
「気持ちのいい空間を作る」、「縁側のような、外と内の中間的領域」(本文中から抜き書きしました。坂茂さんの言葉です)というあたりは、非常に日本の建築家的で、流行の「境界」についてどうするかの諸検討を行っているかに見えるのだけれど、そのアプローチがかなり突き抜けているように感じます。
境界の解釈に関してで考えると、私は坂茂さんが作り出している境界の形が、一番好きかもしれません。かなり好みです。隈研吾さんの作り出す境界は、あれでもまだ随分閉じています。かなり閉じてます。
坂茂さんが作り出す境界は、かなりすごいと思います。
藤本壮介さんとかも、かなりとんでもないスカスカな空間になっていたりするとは思いますが、それと坂茂さんの空間とはまったく違うと私は思います。
何が良いのか、どういう境界なのか、上手く言葉で表現できたら大したものだと思いますが、今の私にはまだ坂茂さんの境界の凄さについて記述する言葉が見つかりません。
ただ、すごいとだけ言いたいと思います。これについてわかったらまた書きたいと思います。
(こうして、空間に対する記述や言葉を探っている時というのは、感覚が研ぎ澄まされるというか、空間的直観や芸術的直観のようなもの(目には見えないけれども頭の中には出現し構築可能である空間世界)が強く刺激される感覚がしてとても楽しいものです。)