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空間について考えます

「窓がわかる本 設計のアイデア32」を見てみました

「窓がわかる本 設計のアイデア32」
中山繁信・長沖充・杉本龍彦・片岡菜苗子
学芸出版社

こちらの本をさらっとですが見てみました。素人の判断ですが、良い内容だと思いました。
設計を仕事にされている方だけでなくこれから家を建てようと思っている方も参考に見てみると良いかもしれません。

本のカバーをめくったところに次のように書いてありました。
「苦手とする設計者が多い開口部のデザイン。様々な条件を満たしつつデザイン性と機能性を両立させることは難しい。本書は、その手ごわい窓の役割を見直し、空間を豊かにするための工夫をイラストで図解。ハイサイドライトやトップライト、半屋外空間、間仕切りの活用、景色の取り込み方など、設計に活かせるアイディアが満載。」
大変豊富な内容となっており、イラストからイメージも膨らみます。

2章 窓を活かすアイデアとデザイン 
①窓辺を楽しむ 
については私はあまり感心しませんでしたが、
③心地よい光を導く 
以降は大変興味深く見ました。
やはりトップライトは優秀な開口部なのではないか、という思いを強くしました。いろんな場面で何度も言われ尽しているはずで、敢えてここで言う必要も無いとは思いますが、住宅密集地でも採光とプライバシーが両立可能な点がトップライトの特性であり、現代建築だけでなく、西洋古建築でも使われてきた重要な開口手段の一つではないでしょうか。
③心地よい光を導く
11 光を落とし込む吹抜け
13 隣家の上から採光する
など、見ていてなるほど~と思います。

ただ、一つトップライトについて不安に思うのは、もし不審者がトップライトまでよじ登ってガラスを割り、軍の特殊部隊がやるようにロープを伝ってシュルシュルシュル~ッと家の中まで侵入できてしまうのではないかという妄想がどうしても私は思い浮かんでしまいます。つまりトップライトの防犯性はどうなのだろうという疑問なのですが、いつも不思議に思っています。
トップライトでも防犯ガラスの使用はできるのでしょうか。あるいは、防犯ガラス以外のガラスの場合、内格子や外面格子の設置などは可能なのでしょうか。トップライトに内格子や外面格子を付けるなど聞いたこともありませんが。
外壁開口部は泥棒にとっては足場が不安定だけれども、トップライトは周囲に屋根があったりして外壁開口部に比べると泥棒にとっては足場が安定的に確保できているためガラスの破壊に時間がかかっても平気ということになるかもしれません。
心配のし過ぎだということはわかりますが、何があるかわからない世の中なので私のような心配性の人は最初からトップライトなどというものは考えない方が良いのかもしれません。
内格子外面格子などで見た目を悪化させない防犯の方法としては、セキュリティ会社と契約して天窓が破られたら駆け付けてもらえるように月々お金を払い続けることでしょうかね。面倒な世の中ですね~悪い人なんかいなくなればいいのに。
防犯以外で天窓にまつわる良くある不安というか、ネットなどでも良く目にする評判として、雨漏りするとか、陽が当たり過ぎるので暑くてたまらないとか、床や家具が日焼けするとか、そんな話も良くあるようですが、実際の所どうなんでしょうか。今時雨漏りする様な施工をする会社があるのだろうかとも思うし、きちんとしたデータが欲しいです。天窓を設置した家の何%が実際に使っていないのかなど、正確な数値として知りたいものです。

④外部との接点を工夫する
18 光と風と視線を制御する
⑥建具と間仕切りを使いこなす
30 開閉できる格子状の間仕切り壁
のところに出てくる、「無双窓」「無双戸」というの、すごいです。

⑤開口とプランニングの妙技
26 窓の役目をリ・デザイン
のところに出てくる、FIX窓。FIX窓って本当に贅沢な窓だと思います。こんな窓がつけられる経済的余裕と、敷地や周辺環境に余裕があると良いのにと思います。

⑥建具と間仕切りを使いこなす
27 フレキシブルに開け閉めする
これは実体験があります。私がまだよちよち歩きの赤ちゃんの頃のことだと思いますが、法事だとかで、急に仏間と隣のお座敷が、襖を開けたとたん繋がって巨大な空間が出現し、そこにテーブルを並べて親戚一同座って宴会が始まったという記憶があります。その時、かなり驚いたというか、襖を開けると部屋が広がるんだ、襖を閉めれば部屋が狭まるんだ、という驚きが子供ながらにあったことを覚えています。和の空間って、何てずるいんだ!

⑥建具と間仕切りを使いこなす
28 建具枠をなくして窓を消す
こちらも、「技だな~」と思いながら見ました。

⑥建具と間仕切りを使いこなす
32 アルミサッシの再活用
こちらはすごいです。リノベーション並で、増築してます。敷地に少し余裕がないといけないようですが、既存の住宅が生まれ変わっています。

防犯のことを考えなくていいなら、見ていて大変面白い住宅関連本です。

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