Qu'en pensez-vous?

空間について考えます

「集落の教え100」原広司 著 彰国社

「集落の教え100」原広司 著 彰国社

建築家原広司さんの「集落の教え100」、建築関係の本としては比較的売れている方の本なのではないでしょうか?わかりませんが、書店の建築コーナーには必ずあります。たまに見て「あれっ、無くなってる」と思っても、しばらくするとまた補充されて戻っているというのを何度か目にしています。

建築についての、おそらく建築ボキャブラリーとでも呼ぶべき100項目が、写真とともに文章で説明されていてわかりやすい構成です。
巻末には、補注があり、空間概念など詳しく定義も載っています。

これ一冊あれば、建築家原広司さんの理論についてよくわかる内容となっていると思います。「空間<機能から様相へ>」の内容が、簡潔にかつグラフィカルに配列し直された本と言えるかもしれません。

ただ思うことは、いつもそうなんですが(旧ブログにも同じことを書いた気がしますが)、原広司さんの理論というのは、元々入れ子式の構造を取っているようで、どれかを取り上げると、数珠つなぎ式に全部いろんなものがくっついてくるので、一つ何か言おうとすると全部を説明しなければならなくなるという事態が引き起こされる感じがあります。

それは、ある部分を一つ理解しようとすれば、全てのことを理解しなければならなくなるということを意味していますので、「空間<機能から様相へ>」をすでに読んで内容が頭に入っている人にとっては、ハイハイ知ってます、と簡単に読めるかもしれないけれど、「集落の教え100」で原広司理論を初めて読む人は、結局のところヘビーなその理論の全貌を理解しなければならない事態が待っていると思います。

「空間<機能から様相へ>」中に、『<部分と全体の論理>についてのブリコラージュ』という小論があることからもわかるように、部分と全体が相似形を成しているようでもあり、同時にデペイズマン的な要素もあるのではないかと思います。
しかも、この100項目、項目が並列的に広がっているわりには、階層も性質も異なる様々な物事について語っていたりもして、それでいて入れ子式に関係するものもあったりで、私としては、目次の100項目だけ眺めているうちにだんだんカテゴライズしたくなってくるので心中穏やかではなくなってきます。
相互にあまり関係が無く、シンプルに心穏やかに読めるのは、補注の概念部分だと思います。補注の方がカテゴライズを気にせず茫然と読んでいられる感じが私はします。

「集落の教え100」は1回こうして記事として取り上げただけでは済まない内容だと思いますので、複数回に分けて、当ブログ『独自:空間考察』カテゴリで書いてみようかなと考えていますし、補注の概念部分でもちょっと思ったことがあったりしたので、また『独自:空間考察』カテゴリで書いてみるかもしれません。

建築を学んでいる方々には好評らしいですので、こうして紹介するまでもなかったかもしれません(と思って今まで記事にしませんでした)。とりあえず、本日は皆さんご存知「集落の教え100」でした。

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